Superior Drummer 3 の音作りとミックス【キック&スネア編】

2021年5月17日TIPSDTM,ドラム音源,ミックス

以前レビューしたSuperior Drummer3(以下SD3)について基本の音作りの仕方を紹介していこうと思います。多機能でいじれる箇所が多く実際のドラムのミックス作業と近いため、SD3以外の音源でも役立つと思うので参考にしてもらえたら嬉しいです。
音作り以外の部分でプリセットの紹介等をしているレビュー記事もあるのでSD3が気になってるっていう方はそちらも参考にしてみてください。

はじめに

今回の音作りでどう音が変わるのかを先に紹介したいと思います。
EQも何もかかっていないキットそのままの状態と音作りを終えたセットを比べてみてください。

①ドラムキットそのまま

②EQやコンプ等の処理をして音作りを終えたセット

ドラムトラックだけで比べてみるとなんとなく音圧が上がったなーくらいの印象かもしれませんが、実際にオケと合わせるとEQで余計な帯域を削ったりしているので音の抜け等も変わっています。
ドラムに限らず音作りに「正解」はありません。好みによっても変わるし合わせる楽曲によっても変わってきます。ドラムの音作りに関する情報は世の中に溢れていますが、だからこそEQやコンプの数値を真似するだけじゃなく何の為にどうやってかけてるのかその理由を参考にして自身の音作りに役立てて貰えたらと思います。

音作りの前にキットの選択や下準備

ドラムキットを選択していきなりEQやコンプをかけるのではなく、キットの調整等で出来ることがあればそちらで調整してしまいましょう。例えばスネアのチューニングやタムの余韻の調整、キックに迫力を出すためにスタックで別のキックの音を重ねてみたりと色々やれる事は多いです。

画像赤枠の部分でキットの調整を行っていきます。
選んだキットのスネアが楽曲に合わない、音が馴染まない場合はチューニングを見直してみてください。

タム等の余韻を調整したい場合にはEnvelope and OffsetからReleaseの長さを変更します。

それとVelocityCurveについて。例えば「このスネアの音色は好きだけどフルレベルで叩いたときのカンカン鳴る音は好きじゃない…」なんていう時に便利に使えます。
上の画像のように設定した場合、ベロシティ121~127で叩いたときに121で叩いた音が鳴るように設定できます。

キットを重ねるスタックで音に迫力を出す

次にスタックについて。
スタックというのは生ドラムでいうトリガーのようなもので、2種類のキックの音を重ねて出したりすることが出来ます。これがあると音作りの幅がかなり広がるので、キックやスネアにもうちょっと迫力が欲しい!なんてときに試してみると良いです。

スネアやキックを右クリックしてMore→StackAddTo→Center

この画面から追加したい音色を選んで右下のStackOnCenterを選びます。
注意点としてスタックで重ねた場合、重ねたキットのチューニングは合うように調整してください。
あとからスネアやキックの欲しい帯域をEQで調整するよりも、元々その帯域が出ているキットを重ねるほうが楽に理想の音に近づける事が出来るので上手く利用しましょう。
個人的にはキックに迫力を出したいとき、スネアの音を太くしたいor高域のカンカンしたアタックが欲しいときにスタックを使用しています。

キックの音作り

SD3ではキックはKick in・out・subの3種のマイクが立てられています。
(スタックを利用した場合は別でX-Kickというマイクが立っています)
これらを処理してキックの音を作っていきます。

Kick inの処理

Kick inはビーターに近い位置で録られていて、キックのアタック感を担っています。

EQの処理はベチベチっとしたアタック感を強調したい場合は4kHz~5kHzをブースト。ジャンルによっては出しすぎるとうるさくなってしまうので楽曲に合わせて調整してください。
それからギターやベース等の他の楽器と帯域が被ってしまう500Hz~600Hz、200Hz辺りをEQでカットしていきます。キックの音圧感や存在感が欲しい場合には60Hz~100Hz辺りを持ち上げると良いです。

コンプの処理はアタックを潰さないようにアタックは早すぎない設定、リリースは遅すぎると戻る前に次の音が入ってきてアタックが潰れてしまうので右のメーターを見ながら楽曲やドラムのフレーズに合わせて設定するのがオススメです。

Kick outの処理

Kick outは先程調整したinに音圧感を足していくイメージで調整していくのがおすすめです。

EQ処理は先程のinと同じように80Hz辺りをブーストしつつ500Hz前後の他の楽器と被る帯域をカット。
音圧感を足す役割としてinに混ぜていくので高域はばっさりとカットしていますが、音源によってはここまでカットしなくても良いかなーと思います。
コンプは先程と同じようなイメージですが音圧感を足すことを目的にinよりもコンプをしっかりかけてます。

Kick subの処理

Kick subは低音を担う役割でちょっとoutと役割が似ているかもしれません。
inとoutで作った音で低域が物足りなければ足していくっていうイメージですかね。

subは低域の役割と割り切ってLPFで150以上はばっさり切っています。
コンプはoutと同じ設定。

最終調整とBUSトラックでの処理

それぞれの処理が終わったらフェーダーで音量の調整をしていきます。
inの音を聞きながらoutを足していく、そこに更にsubを足していくイメージで調整すると良いです。
フェーダーの調整が終わったらoutputからBUSに送ってまとめておきます。
BUSに送っておくことでまとめてEQやコンプをかけたり、せっかくバランスを調整したフェーダーをいじることなくキック全体の音量の調整が出来ます。

BUSでかけているEQは本当に最後の調整程度。
ここはキック単品で聞いて音作りというよりは全体の音を聞きながら足りないところ出過ぎてるところがあれば調整する程度で十分です。コンプに関してはBUSでまとめたキックに軽くかけることで、バラバラの音にまとまりを出すために使用しています。

スネアの音作り

スネアの音はTopとBottomの2種類のマイクで出来ていて、Topは皮鳴りやリムの音、Bottomは響き線やスナッピーと呼ばれるパシっという音です。この2つを上手く混ぜることがスネアの音作りのコツです。

スネアTopの処理

EQ84を使用していますが通常のEQのでも問題ありません。
10kHz、3kHzの高域を持ち上げて明るく抜けの良い音にしています。上げすぎるとうるさくなってしまうのでそこだけ気をつけてください。
コンプはBottomとまとめてBUSトラックでかけているので単体にはかけていません。

スネアBottomの処理

BottomのEQは響き線のパシっという音を強調したいので、キックのときと同じように帯域の被る200Hz・500Hz前後をカットしています。
次にFrequencyGateで余韻をカットしています。他のエフェクトでも余韻の調整は出来ると思いますが、ゲートを使ったほうが音色の変化なく調整出来るので便利です。

BUSトラックでの処理

TopとBottomにまとめてEQ・コンプとアタックを強調する為のTransientをかけています。
EQはスネアの太さを出すために100Hz辺りを少しブースト、コンプはキックのときと同じようにアタックを潰さないように、次の音までに戻るようにアタックとリリースを調整しています。
Transientは最終的なアタックと余韻の調整に使用しています。これは本当に便利。

まとめ

■キック
・in・out・subのマイクのそれぞれの役割を考えながらバランス調整
・他の楽器と被ってしまう、サウンド的に不要な中域はカット
・コンプはアタックを潰さず、次の音が入るまでにリダクションが戻るようアタックとリリースの速度に気をつける
・BUSトラックにまとめてうっすらコンプをかけることでまとまり感を出す

■スネア
・TopとBottomのバランスがスネアの音作りの重要な点
・ゲートを使用してBottomマイクの響き線の余韻を調整
・TopとBottomをまとめてからコンプをかける

キット全体の音作りを一つの記事で書こうと思っていたのですが思った以上に長くなってしまったので今回はキック&スネア編として、次の記事でタムとハット、OH等の処理と最終的な調整について紹介しています。